ブログ
2020.11.10
遺言書保管制度の開始
令和2年7月から法務局での保管の制度が開始されました。
保管申請を受け付ける遺言書は自筆証書遺言に限定されています。
平成31年1月13日より前に作成された自筆証書遺言は、遺言をする人自身が全文を自筆する事が必要でしたが、要件の一部緩和がされ、財産目録については自筆でないものの添付が認められる事になりました。少しハードルが下げられた事により自筆証書遺言を作成する方が増える事が期待されています。
また、自筆証書遺言には、遺言者の死亡後に相続人等に発見されなかったり、一部の相続人等に改竄されるおそれがあったり管理上の問題が指摘されていました。そこで自筆証書遺言の利用を促進するために自筆証書遺言書を保管する制度が始められるれ事になりました。
法務局によって保管されていた自筆証書遺言書には家庭裁判所による検認手続きが不要という利点もあります。
遺言書保管の申請
自筆証書遺言書の保管手続きの流れを説明してみましょう。
①自筆証書遺言書を作成する
②遺言書の保管申請をする法務局を決める
保管申請はどの法務局にでも出来るというわけではなく、
●遺言をする人の住所地の管轄法務局
●遺言をする人の本籍地の管轄法務局
●遺言をする人の所有する不動産の管轄法務局
のいずれかにする事が出来ます。すでにいずれかの法務局に保管されている遺言書を変更手続き等をする場合にはその法務局で手続きを行う必要があり、保管手続きも変更手続きもその法務局に本人が出向かなければならないので、遺言書の保管申請する法務局は良く考えてからした方が良さそうです。
③保管申請書を作成する
自筆証書遺言書の保管申請をする時には法務省の指定の申請書に必要事項を記入して提出する必要があります。指定申請書は法務省のホームページからダウンロードが出来ます。事前に記入してから法務局に出かけた方が良さそうです。
④保管申請をする法務局に事前に予約をする
自筆証書遺言書を保管する法務局の方でも担当者がお大勢いる訳でもないので、予約なしで法務局に出向いても待たされたり、最悪の場合当日の手続を断られる可能性があるため事前予約をしてから法務局に出向くよう推奨されています。
⑤保管申請をする法務局に出向き保管申請をする
自筆証書遺言を法務局に申請するには、遺言書を作成した本人が法務局の窓口に実際に下記の書類を持参の上出向く必要があります。
●遺言書
用紙が数葉になったとしてもホッチキス止めをせず、また、封筒に入れたりせずに持参する必要があります。
●保管申請書
あらかじめ記入して持参します。
●添付書類
本籍地の記載のある住民票の写し等(作成後3ヶ月以内のもの)が必要となります。
●本人確認書類
マイナンバーカード 運転免許証 運転履歴証明書等の顔写真入りの身分証明書のいずれか1点(現に効力のあるもの)
●保管手数料
保管申請1件当たり収入印紙3900円必要です
⑥遺言書の保管証を受け取る
手続き終了後、保管証が発行されます。以後、遺言書の閲覧、遺言書の撤回、遺言書の変更届出をする場合や相続開始後に相続人等が遺言書情報証明書を取得する場合などに遺言書の保管番号がはっきりしていると便利です。
留意点
法務局職員が自筆証書遺言書の保管を受け付ける際に、保管する自筆証書遺言書が様式に合致しているかの確認を行います。しかし、確認事項は外形的な確認(全文、日付、氏名の自書、印鑑の押印がされているか等)にとどまり、その遺言内容の確認はしてはくれません。事前に遺言書保管担当者に相談に行っても遺言書の書き方の相談には一切応じない事になっており、従来からの指摘されている自筆証書遺言書があっても内容的に使用に適さないものが多いという問題点はそのままです。
自筆証書遺言書を実際に作成する際には、事前に専門家に相談をしてから作成する方が良い場合が多いかと思います。
何かお困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。